2002年夏場所優勝自戦記・・・「寿限無」
木村明弘
 

 皆さんこんばんは、弱小寄席の時間です。
 本日は千駄ヶ谷演芸場から華々亭恋師匠の「寿限無」をお送りいたします。
 華々亭恋師匠は最近お子様が生まれたとか…、きっと素晴らしい「寿限無」になるでしょう。それでは宜しくお願いします。
 テケテンテケテンテケテンテンテン…。

 ようこそおいでいただきました。私もついに人の親になりまして、なった日にちが5月21日、今は無きうちの父と同じ誕生日とは何かの縁と感じます。
 また大相撲夏場所真っ最中とこれまた何かの縁…いやこれは只の偶然ですか、でもこの大相撲が精神安定剤となったのも事実でございまして、思えば初日・二日目と日計トップで首位に立って以来、順調に点差を広げたことを毎日ダイジェストを見て確認し、緊張した心を癒していました。
 「良し、木村(北勝力)勝った。」「良し、S(千代天山)負けた。」(笑)
 なんて小さく叫びながら…、今から考えれば一寸変ですかね。
 まあ今場所は史上初の完全優勝を果たしたことで良しとしますか。
二桁勝ち力士五名全部入れ、優勝も当てたのに全国順位がイマイチなのは悔しくないよ、悔しくないって…玉乃島の馬鹿。
 まぁ全国順位は来場所のお楽しみってことで…

「ご隠居、ご隠居、ご隠居はいませんかー。」
「なんだい朝からそうぞうしいねー明さんは。」
「いやーついにね、私の所にも子供が出来たんですよ。」
「ほー、それはおめでたいことだね。で、ご祝儀が欲しくてやってきたのかい」
「やだなーご隠居、名前を考えて欲しいのですよ。色々考えたんですがねどーもしっくりこない。それじぁ町内一博学のご隠居に決めてもらおうと来たわけですよ。」
「なるほどねー、じゃあ寿限無というのはどうじゃな。」
「何です?寿限無てぇのは。」
「寿(よわい)限り無し、つまり死ぬ時が無いということじゃ。」
「流石ご隠居、もう他にありませんか?」
「五劫のすりきれはどうじゃな、三千年に一度天人が天下って巌を衣でなでるのだが、その巌をなでつくしてすりきれて無くなってしまうのを一劫という。それが五劫というのだから何億年と数え尽くせないことだ。」

「うーん素晴らしいご隠居、五劫のすりきれ」 「T澤君の五連勝はどうじゃ、T澤君が馬券を当てるのが大変珍しく、それが五回連続も当たるということはこれまた数え尽くせないことじゃ。」
「五劫のすりきれよりもすごいんですねー。もう他にありませんか?」
「食う着る処に住む処はどうじゃな、人間衣食住の安定が何よりじゃ。」
「なるほどー、もう他にありませんか?」
「A藤氏の近鉄にO野君のタイガースそしてS氏の永世弱小はどうじゃな、これもいつまでも変らずにいるということじゃ。」
「素晴らしい、こうなれば全部くっつけますか。」
「寿限無寿限無、五劫のすりきれ、T澤君の五連勝、食う着る処に住む処A藤氏の近鉄にO野君のタイガースそしてS氏の永世弱小…いいですねご隠居これに決めます。」
「待て待て、明さんは早とちりでいかん。それだけではまだ途中だ、最後に命を伸ばすということで、長及命の長介を入れなければならぬぞ。」
「…あのーご隠居」
「なんじゃ」
「長介というからには男の名ですよね。」
「そうじゃ」
「うちは女の子が生まれたんですけど。」
「何!それを早くいいなさい。」
「女の子なら遥奈で決まりだ。」
お後が宜しい様で…。(大拍手)テケテンテケテンテケテンテンテン…。

いゃー素晴らしい出来でしたね。皆様と楽しんでまいりました弱小寄席、そろそろお別れの時間です。次回の弱小寄席は七月に華々亭恋師匠の「芝浜」をお送りする予定です、皆様ごきげんよう。
 

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